レ・ミゼラブル

LES MISERABLES
監督 トム・フーパー
出演 ヒュー・ジャックマン  ラッセル・クロウ  アン・ハサウェイ  アマンダ・セイフライド  エディ・レッドメイン  ヘレナ・ボナム=カーター  サシャ・バロン・コーエン  サマンサ・バークス  イザベル・アレン  アーロン・トヴェイト  ダニエル・ハトルストーン  コルム・ウィルキンソン  ナタリア・エンジェル・ウォレス
原作 ヴィクトル・ユゴー
ミュージカル原作 アラン・ブーブリル  クロード=ミシェル・シェーンベルク
脚本 ウィリアム・ニコルソン  アラン・ブーブリル  クロード=ミシェル・シェーンベルク  ハーバート・クレッツマー
撮影 ダニー・コーエン
編集 メラニー・アン・オリヴァー  クリス・ディケンズ
作曲 クロード=ミシェル・シェーンベルク
2012年 イギリス作品 157分
好き度☆☆☆☆


かわいそうさを盛り上げる歌の力が加わって、気持ちよく泣けた〜

映画が終わって、「レ・ミゼラブル」と出たとき(もちろん、フランス語で)、拍手が起きた。私も手をたたいた。こういうの、うれしい。

ミュージカル大好きな私なので、期待大で臨んだ。
ネット友のkさんと、きょうは一緒である。お互いに涙腺が弱いらしいので、安心して(?)泣けるぞ!

はじまって、すぐ。ちょっとしたセリフまで歌になっていて、多少驚いた。
これだと…オペラみたいなものか?
セリフでよさそうなところまで、微妙な音程の上げ下げで、歌にしている。
こういう部分は、一度聴いただけでは覚えられず、印象には残らない。…まあ、それでいいのかもしれないが。
記憶に残ったのは、ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)が歌った悲痛なメロディくらいだ。(覚えているのは、予告編から何度も聴いているせいかもしれない。)
それが悪いというのではない。ああ、こういうやり方なんだなあということ。

私の彼女、コゼット役のアマンダ・セイフライドさんが、ほんとに天使のようで、おまけに美声だから、まさにコゼット!(じゃないだろうか?)
アンちゃんも大好きだが、私はアマンダをとる。すまん、アンちゃん!
話が逸れているようだが、

ラッセル・クロウのジャベールも頑張った。こんなに歌えるとは。
ここから、ネタばれしますよ。

高い場所の縁を歩きながら歌うシーンが繰り返されて、心の中の暗喩なのかなあと思いつつ、最後にはあんなことに。
いまひとつ分かりにくいのは、なぜ彼が死ぬのかということ。
ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)に赦しを受けて生かされたこと。バルジャンの行為の意味は理解できたのか。
それに比べて、自分が恥ずかしいと思ったのか…。
もしかして、生きていて、あとで出てくるのかも?と思ったよ。

バルジャンも、仮釈放から逃げた数年後に、なんと市長になってる! その間どうやって地位を得てきたのかは、原作には描写があるのだろうか。その点だけでも、原作を読んでみたくなった。

アン・ハサウェイさんはアカデミー賞授賞式でも聴いたから知っていたけど、歌が素晴らしいよ!
予告編の数フレーズを聴かされただけで、毎回泣いてたもんなあ…。
ファンテーヌの死の理由は何なのだろうか。具体的によく分からないのだが…。それは、バルジャンも同じ。

ジャン・バルジャン(昔、「ガンバルジャン」とか、ふざけて言いませんでしたか?)は、ファンテーヌに救いの手を差し伸べる。それは、彼女が落ちぶれた原因が自分にもあるという責任感、つぐないでもあるんですね。

夫婦の奥さんのほう、出てきたときに、あれ?ヘレナ・ボナム=カーターさんじゃね? と思ったんだが、やっぱりそうだった。主演者以外、誰が出るのか知らなかったのだ。
ダンナ役がサシャ・バロン・コーエン。このふたりって、ミュージカル映画の「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」にも出ていた。
ミュージカルの異色キャラに、ぴったりというわけですね。

コーエンって、おばかな映画で他人を怒らせてるみたい(私はそういう映画は見ていない)だけど、まともな映画にも需要があるんだよね。

リトル・コゼットのイザベル・アレンちゃん。見かけも雰囲気も、いいキャスティングだと思う。
そして、成長したコゼットが、わがアマンダ。
アンちゃんもそうだけど、案外、出番が少なかったと思うのは私だけであろうか。成長したコゼットは、どうしても後半から出てくる感じなので、しょうがないか。

コゼットに一目惚れするマリウス役がエディ・レッドメイン。私にとっては、なんたって「マリリン 7日間の恋」での、マリリンの臨時彼氏役ですから、出てきたときには、おおおおーー!ってもんです。
えー、歌うまいんだなー、マリリンの彼。などと、ヘンなふうにも感想を持ったことでした。

で、お互いに一目惚れっていうのが、現実的でない気がして。あるのかもしれないけど、できすぎじゃない?とも思うのですよね。

いちばん感情移入したのが、エポニーヌ(サマンサ・バークス)。
マリウスに恋しているのに、彼が好きになったらしいコゼットのことを教えるという、つらさ。
けっきょく、片思い、あきらめざるをえない…そのうえ最後は…これが泣かずにいられますか? いや、いられない。
彼女は舞台のオリジナルキャストのようで、歌の上手さも安定感あり。

ラストは、これまでの話のなかで亡くなった者たちが大勢、復活して(?)、歌って大団円!(わかってもらえると思うが、本当に生き返ったわけではなくて。)(ジャベールは、いなかったんじゃないかな…)
こんなことされたら、泣くって!
ちょうど前日に見たテレビ「平清盛」のラストシーンも同様な演出で、海に沈んだ平氏が海底でみんな生きていて…というものだったので、それを思い出しもした。

歌うシーンはライヴだったという。舞台と同じように、その場で演じながら歌った。生歌。
これは感情、入るよ。
ただ、そうすると歌い方については舞台版を豪華キャストで映画にしたもの、ともいえるが…なかなか高価な舞台は観に行けないから、映画になってよかったし、リアルなセットやアップ撮影などの映画ならではの魅力で楽しめてよかった、というのはありますね。




〔2012年12月24日(月) TOHOシネマズ 日劇1〕


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