メリー・ポピンズ リターンズ

MARY POPPINS RETURNS
監督 ロブ・マーシャル
出演 エミリー・ブラント  リン=マヌエル・ミランダ  ベン・ウィショー  エミリー・モーティマー  ジュリー・ウォルターズ  メリル・ストリープ  コリン・ファース  ピクシー・デイヴィーズ  ナサニエル・サレ  ジョエル・ドーソン  アンジェラ・ランズベリー
原案 デヴィッド・マギー  ロブ・マーシャル  ジョン・デルーカ
脚本 デヴィッド・マギー
撮影 ディオン・ビーブ
編集 ワイアット・スミス
音楽 マーク・シェイマン
2018年 アメリカ作品 130分
好き度☆☆☆


前作オマージュなど健闘はしているが、楽曲で記憶に残るものがないのが痛い。
エミリー・ブラントさんは007のダニエル・クレイグのごとし。(少しマジすぎ、重め)
…とツイッターでつぶやいたね。

どうして記憶に残る歌が生まれないのだろう。
「メリー・ポピンズ」は名曲の宝庫で、比べるのは酷だが、「メリー・ポピンズ リターンズ」(以下「本作」とする)を見終わったときに一曲も覚えていないとは。
雰囲気的には良くできた曲が多いが、記憶に残らないのだ。

サントラ盤を聴いたり、何回か本作を見れば、もしかして覚えるかもしれない。
昔の映画音楽の名曲を、なぜ覚えているのか考えてみる。レコードやラジオやテレビでも聴いて、「繰り返し」で覚えたのではないだろうか。
いまは、そのようにして音楽が聞ける場が少なくなった気もするし、その価値がある、耳に残る音楽も少ないのかもしれない。

それにしても思うのは、ただ音程を上下させるテクニックみたいなもので曲を作っている印象があるというか。簡単に覚えられない曲だから、そういうイメージになるともいえる。
もっとシンプルなメロディで心に響く歌を作れないものか。

本作の場合、そこを第一に考えてしまうのだが、いいところとダメなところを箇条書きにして挙げてみたい。

いいところ。
・劇伴(歌じゃなくて、映画のバックに流れる演奏)で、「メリー・ポピンズ」(以下「前作」とする)の音楽を、ちょこまかと入れていた。うれしい。
前作の主役級俳優が出演している。エンドクレジットの名前の出し方も前作を踏襲。うれしい。
・エンドクレジットを見ていたら、カレン・ドートリスさんの名前を見つけた。前作では子役のジェーン(主役の姉弟の姉)を演じていた。あとで調べてみると、本作では、大人になったジェーンに道を尋ねる女性の役らしい。今度見る機会があったら注意して見よう。
・メリー・ポピンズのいとこの家に行って一騒動あるのは、前作でおじさんの家に行くことのオマージュ。おじさんの家では、笑うと体が浮かび上がってしまっていた。
・前作では煙突掃除夫、本作では点灯夫で、両作品とも同じように仲間での群舞がある。
・前作同様、アニメと実写の融合がある。
・凧が出たり、提督が出たり、2ペンスの話が出たり、ほかにも前作へのオマージュが。
「マンマ・ミーア!」主演の3人が出ている。メリル・ストリープさん、ジュリー・ウォルターズさん、コリン・ファース。ただし、本作では、まったく共演していない。

「メリー・ポピンズ」「マンマ・ミーア!」と、私が好きな映画がらみの「いいところ」しかないのか!?

ダメなところ。
・最初に挙げたとおり、曲がまるでキャッチーでない(覚えやすくない)。
・映像も音も密度が濃いというか、矢継ぎ早なので、たいして面白くないときには見ていて疲れてくる。今どきはそうしないと飽きられるとでも考えているのか。もっと、ゆるく、のんびり気味でもいいのでは。
・メリー・ポピンズ役のエミリー・ブラントさんに優しさ、あたたかさが足りない。愛嬌がないといってもいいが、感情が見えにくい。家庭教師だし甘い人物ではないのは間違っていないが、もう少し何かに愛情を見せるシーンを入れてほしかった。きつそうなのは、彼女の顔だちのせいか。それとも、これも前作と比べるせいなのか。
・最後はコリン・ファースも心を入れ替えて、宙に浮かせてほしかった。厳しすぎる。ちょっとしたことでSNSなどでも一気に攻撃するような今の風潮を彷彿させるようだ。
・本作は、お金がないという問題が大きくて(というか、それしかない)、メリー・ポピンズの存在意義が小さい気がする。前作では、親子愛の感動があったのだが。とにかく、本作は感動するところがない!

健闘は認めるが、何度も見たくなるような映画、こちらの感情に訴えるもの、感動作ではなかった

ちなみに、今回メリー・ポピンズが何度か口にした言葉。“Off we go.” 「さあ、行くわよ」という感じだが、予告編でバスタブに入るときに言っていたので、なんて言ってるんだろう、たぶん最初の単語は off かなあと思っていたのだ。
“Here we go” は以前から知っていたのだが、“Off we go”は映画観賞後に検索して、はじめて知った。




〔2019年2月17日(日) TOHOシネマズ 渋谷〕


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