アナと雪の女王2

FROZEN II
監督 クリス・バック  ジェニファー・リー
声の出演 イディナ・メンゼル  クリステン・ベル  ジョナサン・グロフ  ジョシュ・ギャッド  エヴァン・レイチェル・ウッド  (吹替版) 松たか子  神田沙也加  原慎一郎  武内駿輔  吉田羊
脚本 ジェニファー・リー
編集 ジェフ・ドラハイム
音楽 クリストフ・ベック
2019年 アメリカ作品 103分
好き度☆☆☆☆


「むずかしげ」が「楽しげ」より重くなっている天秤をイメージ。

むずかしげ、というか、話が多少ややこしいのかもしれない。
いや、考えてみると簡単な気がするが、なんとなく、すっきりしないのは、なぜなのだろう。
やはり、1作目よりも単純明快ではないせいか。エルサとアナの成長もあって、「おとな」の方向に少し寄ったのか。

観ていると、長くは感じない。つまり私にとっては面白いはずで、でも、前作のように15回(いま現在)も観ないのではなかろうか。と、今のところは感じるが…。

以下、ネタばれを含んでいくが、「楽しげ」が少ないというのは、途中での悲しみが長引くのが理由のひとつだろう。
前作でも、あっと驚く悲しみが生まれたが、それはすぐに消えた。今回は長い。アナがそこから前向きに進みだすための歌までうたってしまうほど。
また、エンディングも普通にみんなが思うハッピーエンドではないと思う。一見、楽しくない。
しかし、これこそ、この姉妹の進む道であるのだろうと。今できる最善の方法を取るのが本作のテーマでもあるのだから。

民族どうしの平和共存も当然、テーマだろう。
めったにしない深読みを多少してみると、アレンデール王国が贈ったダムは水を仕切るものだから、民族どうしを敵として仕切る象徴ともいえる。その崩壊は民族融和か。
また映画では、水は記憶を持つ、とされていたので、せき止められた記憶が、崩壊によって広く行き渡ったことにもなる。
開かれた世界にしましょう、みたいなこともあるかもしれない。
洪水になるのは、エルサが止めた。水はゆっくりと行き渡ることになる。

歌に関しては、予告編でも聞いた“イントゥ・ジ・アンノウン”の部分しか覚えていないから、前作ほどのポピュラリティ(一般受け)はないように思う。でも、聴いていて「いい曲」だと思ったものは多い。基本、この作曲チームと私とは相性が合っていそうだ。
クリストフの恋愛ソングなんて、ミュージックビデオかと。クイーン風を挟んだりして、にやりとさせる。

そして! あとで知ったのだが、エルサとアナのお母さんの声を、エヴァン・レイチェル・ウッドさんが務めているのだ!
「アクロス・ザ・ユニバース」で美声を聞かせてくれたのは、もう11年も前のことじゃないですか。びっくりですね。歌があるからこその、彼女のキャスティングで、うれしいことです。

「楽しげ」でないのは、「死ぬ」ことが、けっこう多く表現されているせいでもあるのではないか。
上記で触れた「長引く悲しみ」のほかにも、オラフの「あらすじ」語りでは、死ぬとか泣くとか、しゃべってたし、祖父の不意打ち襲撃(ストップモーションだが)もあった。クリストフだって、人はいつか死ぬ、なんて言ったぞ。

映像は驚くほど美しい。「ビューティフル!」と感嘆の声をあげそう(外国人だったらね)。
黒地の背景に、きらきら(金? 白?)の魔法の場面なんて、きれいすぎる! 水の馬(水の精?)も、ビューティフル!
エルサが海を越えようとして、馬とも戦うシーンなど、アクション映画顔負けだ。

なんだかんだいっても、何度も観たら、大好きになるかも。素晴らしいアニメーションとは何度も見られるものだから、さて、本作は私にとっては、どうなるのかな。




〔2019年12月1日(日) イオンシネマ 大井〕


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