どないや?NHK大河「新選組!」

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第1回〜第10回

第11回〜第20回

第21回〜第30回

第31回〜第40回

第41回〜最終回

 終わりました。ご苦労様でした。いや、本当に1年間楽しかったです!
 連ドラの苦手な私が1年間見続けられるかと思ったのですが、毎回とても楽しみに待ってました。さすが三谷脚本。「毎回笑いをとりこむ」という宣言通り、どんな悲惨な回でも一片の明るさが残るドラマでした。
 私が好きな回は、保存版として録画してるんですが、芹沢暗殺、池田屋事件、山南切腹、寺田屋大騒動(みんなそれなりにありがとうー!)などなど。前半はもう芹沢に釘付けだった私(ふっ…マニア…)。かっこよさでは芹沢暗殺の回が一番。その前当たりの新見切腹もブラック土方&ブラック山南でよかったです。

 今回劇場系の役者さんを揃えて、いい役者さんが多かったですよね。
 山南、よかったですよねー。あの笑顔が、常に目は笑ってない。心を一度も開放できない山南というひとを表しているようで。一度も心から笑ったシーンはないような気がします。近藤に対する絶大な信頼、は、前半の香取君の力不足?でいまいち説得力がなかった気が。でも土方との唯一無比の「同志」としての信頼関係は、すごくよかったです。
 ハラダ、好きでした。彼が最後までいてくれたからこそ、すがすがしく終われた。全編通して、彼はいつも「明」「開」方面であり、山南が「あなたの明るさがきっと役に立つ」という言葉通りでした。どんな局面も、この人がいたらなんとかなりそうな気がしました。彼が大陸で馬賊になった、という説は、真実ではないでしょうが、このドラマでは彼ならやってくれたのではと思わせてくれました。
 斉藤、もうめちゃかっちょよかったですね!この斉藤なら、斉藤ファンも許してくれたのでは?クールで強いのに、「俺のせいだ」とか笑わせてくれるし、可愛さもバクハツでした。彼がどうして会津に残ったのか、それもすべて当初からの伏線だったのかも。
 永倉。山口智充がこんなにいい役者になるとはっ。笑。声がいいですよね。朗々としていて、自信があって。試衛館だけど、気持ちは近藤と同等というか。その自信のあり様が、のちのちの離反も納得させてくれます。
 藤堂は、この人も最初印象薄かったのに油小路ではすごいいい顔になってました。まじめなお坊ちゃん、というイメージと、義理堅いお人好し。「誰からも愛された」という記録通りかも。歌舞伎の人だけに、剣のシーンは顔つきも引き締まり、型がきれいで、その豹変が藤堂らしくてよかったです。
 源さん。いやー、もう今回一番日陰からスポットをあびた人ですね。だって地味だものー。さすが演技派、もう顔だけで「ああ、源さんだー」だったっす。近藤、土方の兄貴分でもあり、お目付役でもあり、陰の功労者。源さんが隊でどういう存在だったのか、どれだけ重要な存在だったのか、このドラマで再認識できました。

 あと好きだったのはおみつ姉。もうあのテンションが好きー。沖田との最後の別れになるかも、というシーンでも、「早く死になさい。でも死ねないわよ。あんたみたいなのは、死ねなくて長生きしちゃってあのとき死んでればかっこよかったのに、なんて言われるんだ」と逆ギレしてくれて。強いなぁ。いいなぁ。
 おつねさんが、かわいかったー。もうこんなに純粋できれいでいいのか、というくらい。
 総じて、女性達がみんな生き生きしてて、けして「新撰組にまつわる女達」としてだけではなくて、よかったです。たいがいは「陰で支えて、涙をこらえていた」的に描かれるけど、ここではみんな自分の生き方があって、性格もあって。俗っぽいバカな女だったお琴さん、本当に山南を愛してたのかはわからない明里、世界を憎悪しつづけたお梅さんなど、今までタブーだった、でも現実にたくさんいる女性を描いてくれた気がします。
 はっ。優香はなー…。なぜ優香だったの?笑。お孝さんになってからは生き生きしてかわいかったけど、深幸太夫はなぁー。
 あと、みなさん捨助はいかがでしたか?彼の存在の意味、どう解釈しましたか?私は最終回感想にも書いたけど、彼は現代、新撰組を見て憧れている私達だったのかも、とも思いました。近藤に憧れてどこまでもついていき、いつでも誰にも追い出され、最後には近藤奪回を一人でもくろみ、突撃して死んでしまう。
 近藤を奪回してはならない、と土方らはわかっているのに、彼一人蚊帳の外で、俺しかいないと信じて隊服を珍妙に着込んで新撰組として(多分誰も認めていないのに)死んでいく。彼は道化であり、徹底的に部外者でしかない。何だったんでしょう。その空回りは、現代の新撰組ファンの勝手な思いこみと共通するのかもしれない…とか、うがった見方もしてしまいました。


 

 さて沖田、土方、近藤です。
 藤原沖田は、もうひらめ顔さえもぴったり。笑。わがままなところ、気の強さ、純粋さ、孤独感、ひねくれ方、もう沖田そのもの。ラストはめちゃくちゃ可哀想でした。あれは死んでたのでしょうか。日にちからいうと、まだ生きてたはず。
 土方。山本君はとてもきれいで、オッケーです!ナルで、はすっぱで、行儀がわるくて、オッケー。これはこれでいいです。笑。近藤と何度も抱き合うサービスシーン(笑)も嬉しい。でもかわいすぎという気もしました。山本君が、もう5年あと演じてくれればもっとよかったです。
 で、近藤。香取君。いろいろ批判もあるけど、私は最終回前からの「近藤」で丸をあげます。少なくとも、顔はすごくよくなったです。いろいろマイナスがあるけど、ラストシーンでさしひきプラスになりました。

 もともと私は「悲壮」で「爽やか」に「幕末の青春」を「駆け抜けた」とか、「悲劇」の「戦いに生きた」とかいうのが嫌いで…すみません。
爽やかなわけじゃないじゃん。だって、むさくるしい浪士ばかりなんやし。悲壮というか、彼らは食うために入隊したんじゃん。悲劇かどうかは、本人には結果は見えてなかったはずだし。
 戦いに生きた、というのは、私はけして美しいことではないと思います。
 今回のドラマで私的に不満だったのは、新撰組の怖さが描かれなかったこと。もっと「暗殺」、つまり、一人の浪士に対して3人でかかり斬り殺すという鉄則とか、そういうブラックな本質を描いてほしかったです。
 彼らはけして爽やかでも美しくもない、暗殺集団だったのであり、だからこそ京の人々に嫌われ、敵に憎悪され、旧幕臣の中で毛嫌いされながらも頼られる存在になったはずです。
 それもまた新撰組という集団が現在もファンを作り続ける要素であり、私的には彼らにはナチスドイツの親衛隊的なかっこよさを感じる次第です。
 今回、新撰組の粛正については描かれても浪士の暗殺などについては描かれなかったことは、とっても不満。ファンなら話についていけたでしょうが、一般の人は新撰組がなにをしていて、なぜ憎まれて、どうして近藤があんなに出世したか、いまいちわからなかったのではないでしょうか。
 あと、近藤にスポットがあたったことはとても嬉しかったのですが、ここまで美化しなくてもよかったのでは、とは思います。笑。はい。

 史実と違う。というよくある批判に対しては、じゃあ赤穂浪士はあれだけ史実と異なってていいのかと反論してしまいます。
 (赤穂事件は、吉良は完全な被害者であり浮説のように浅野にいやがらせをした記録もなく、むしろ浅野が今で言う神経質な、言ってしまえば少し危ないタイプの若者で、職務の先輩となった吉良の指導に対して反感をもっていたそうです。また吉良は温厚な人物で、地元の名君であったそうです。赤穂事件が今のような話になったのは、江戸幕府という封建体制に抱えていた矛盾の解決のため、当時の幕府が推奨した「創作」だそうです。)
 史実も大切ですが、一番大切なことは当時の人々を生の人間として感覚でとらえることではないでしょうか。史実かどうかに固執していると、史実だけでは見えない真実を見逃すこともあると思います。
 また、新撰組をあまりに神聖視したり美化してしまうことは、その人にとっては必要なことなのでしょうが、私としては現実に存在した彼らに対して逆に失礼ではないかとも思います。
 激動の時代だったからこそ、彼らの普通の人間としての姿を見ようとすることは、彼らを一人の人間として尊重することではないでしょうか。歴史の中の彼らはブラウン管が作ったアイドルではないのですから。
 あまりに彼らを固定化された・またこうであってほしいという願望だけでできた美化された姿にしてしまっては、新撰組や歴史に対するどんな研究も創造も生まれないはずです。

 新撰組が今回、いろんな人に見てもらえたこと。しかも山南や芹沢、島田など今まで一般の人の目には触れなかった人までこまやかに描かれたことは、とってもよかったです。沖田を美化せず描いてくれたこともよかったし。
 とりあえず、一年間おもしろかったー!

ありがとうございました!